Lilacium

2石トランジスタによるVCOの挙動解説

2石トランジスタによるVCOの挙動解説

KORGのMS-20のVCOは回路の簡略化がとても面白いVCOなので、GND基準で波形を生成するように書き直した回路で動作を追ってみましょう。

2石トランジスタVCOの基本回路

大まかな回路の構成を説明すると

左側のQ4,D4,R15,R16,R17で定電流回路
中央右側のQ5,Q6はトランジスタ2つを使ったサイリスタ
右側の,R19,R20はリセットの基準電圧を抵抗分圧で生成

となる。

この3つの要素からなる回路は次のような電流の流れを経て鋸波を生成する。

  1. 定電流源からC3へ電流を流して充電する
  2. Vout > (Vth+0.6)になるとQ6がONするようになる。
    PNPなのでエミッタよりベースの電位の方が低いと電流を流すようになる。
  3. Q6のコレクタからQ5のベースに電流が流れることでQ5がONになる。
  4. Q5がONになり、Q6のベースとR19、R20からなる閾値生成部から電流を引こうとする。

3番と4番はループするため、Q5をオンするのに必要なベース電流が流せなくなるまでC3→Q6→Q5の経路で電流が流れ続ける。
この仕組みにより、RS-FFのような自己保持回路のロジックや、一定時間放電のためにトランジスタをONし続ける回路が不要になっている。
この回路の面白い点として、Q5のコレクタから見た時にR19,R20からなるインピーダンスよりもQ6のベースのインピーダンスが低い必要がある。 仮にR19,R20からなる閾値生成部のインピーダンスがQ6のベースより低い場合、Q5がONした時にQ6のベースから十分に電流を引くことが出来ず、自己保持をすることが出来なくなる。  

あとはバッファ回路でC3の充放電の挙動を取り出してあげれば完成となる。 MS-20ではソースフォロワで取り出しているが、ボルテージフォロワで取り出した場合や帰還部にC3を入れた場合などの違いはそのうち考察したい。

Next post

ロシア製ブラウン管3LO1Iでアナログオシロスコープを作る_その1

2石トランジスタによるVCOの挙動解説